事件簿
その伍

無収入の専業主婦が借入れした驚きの手口

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順風満帆な専業主婦だったはずが・・

現在の法律では無収入の専業主婦は消費者金融で借入れは出来ないはずです。
しかし中にはどんな手を使ったのか借入れ出来ている主婦もいます。
今回は実際に私が無収入で借入れした専業主婦から聞いた手口を公開しましょう。

今回の主人公は、神奈川県在住のハルカさん(仮称:当時35才)です。
さてこのハルカさん、パッと見は消費者金融に手を出すような人にはとても見えません。
雰囲気にも品があり、例えるならウイスキーCMのあの美女といったところです。

その属性も

・ご主人は、某一流飲料メーカーに勤務で年収は1千万超
・ご自宅は横浜市内の一戸建て
・お子さんは小学生が2人。

ご自身は完全な専業主婦で、仕事はしていませんが家計のやり繰りはハルカさんが行っているので、比較的お金は自由になる状態です。

セレブとまではいかないまでも、完全に中流以上の生活環境です。
そんな一見、順風満帆な生活環境の彼女に思わぬ落とし穴が出現します。

消費者金融に手を出したきっかけ

ハルカさんが消費者金融に手を出してしまったのは2008年ごろのことですが、元々のきっかけは、さらに1年前ほど前の着物の購入が原因でした。

「着物なんて着る機会もないし今どき成人式以外に買う人いるの?」なんて思っている方は完全な素人で、この業界は、展示会商法、モデル商法などあらゆる手段で顧客を集めて販売を行う、かなり営業色の強い業界なのです。

単価も、帯、小物などあわせて、数十万円から百万円(中には数百万円)を超えるものもあり、おのずとローンでの決済が多くなるのも特徴です。
また再勧誘の営業も強力で、時期を空けて1人に何着も購入させることも珍しいことではありません。

ハルカさんは若い頃に着付け教室に通っていたこともあり、着付けの免状も持っていたとのことです。(持っているだけで、着方なんかはすっかり忘れてしまっているそうですが。)
そんな経歴もあって、着物に対して多少の興味はあったのです。

そんなハルカさんは、例に漏れず、当初「ちょっと見るだけ」と全く購入する気がなかったものが、すすめられるままに試着をしてゆくことで、気が付けば商談に入ってしまっている状態でした。
購入しても返済が大変なのでと断っても、
「ローンの返済は最大1年間待つことも出来ますよ。」
「着物との出会いは一期一会です。後々後悔しないように。」
など、饒舌なトークで、ついつい押しに負けてローンを組んでしまいました。

また一着購入した後も、
「無料で着付け教室を開いているから是非参加して欲しい」
とか、
「撮影会があるので買った着物をもって是非参加して欲しい」
などの電話が入るようになり、その文句につられて参加する度に、新たな商品をすすめられ、気が付けば5着以上の着物を購入しており、毎月ローンの返済金だけで10万円を超えるようになってしまいました。

いくらハルカさんが中流以上の生活環境であっても、毎月10万円を超える出費を捻出するのは容易なことではありません。
しかしここまで高額な買い物をしてしまったことはとてもご主人には言い出すことが出来ませんでした。
よほど働きに出たいと思いましたが、ご主人に不審がられるのが怖くて行動に移せませんでした。

着物のローンは5年で終わる予定です。
「毎月の不足分をボーナスで補填すればなんとかなる。なんとか5年間頑張るしかない。」
実際ギリギリの状態でしたが、なんとか最初の1年だけは持たせることが出来ました。

しかしこれに子供の中学受験に向けての出費が加わった時、これまでのやり繰りでは完全に立ち行かなくなってしまいました。
「私のせいで子供が受験出来ないようになっては絶対にいけない」
そのような気持ちもあって、ハルカさんは消費者金融を利用して、ローンの返済を補填するようになってしまいました。

突然の出金停止による悲劇

ハルカさんの消費者金融での利用限度枠は20万円でした。
そして必要な際はそこから引き出して補填を繰り返していました。
しかし契約から2年ほど経ったある時、限度枠内での引き出しが突然出来なくなってしまったのです。

「どうしてなの!?一度も遅れたことなんてないのに」
利用していた消費者金融にも電話して相談しましたが、「審査上のことは回答できない」と素っ気なく言われるだけでした。
なんの前触れもなく、突然引き出し出来なくなったハルカさんは困りはててしまいました。

仕方なくネットで調べてみると、2010年6月に法律が改正され、消費者金融には総量規制という年収の3分の1を超える貸出し制限が設けられたため、無収入の専業主婦に対しては、限度枠内も含め一切融資が出来なくなってしまったことが原因ではないかということがわかりました。

「こんなことになるなら、勤め先を探しておくんだった」
ハルカさんは後悔しましたが、着物のローンの支払い、消費者金融の支払いは差し迫っています。
いまから仕事を探していては返済にはとても間に合いません。
切羽詰まったハルカさんはある大胆な行動に出ることにしました。

無収入の専業主婦でも借入れ出来た

それは、自分の実家を勤務先として申告して、新たな消費者金融から借入れを起こすというものでした。

どうしてこんなことを思いついたかといえば、学生時代に、20万円ほどの美顔器のローンを組んだ時のことを思いだしたのです。

当時、ハルカさんはアルバイトもしていなかったのですが、販売員に

・現在アルバイトはしていないがこれから探そうと思っている。
・毎月1万円程度の返済であれば最悪、お小遣いでなんとかなる。

ことを伝えると販売員は、「じゃあ、実家が商売をやっていることにして、実家を勤務先として申込みをしましょう。わかりっこないから大丈夫だよ。」と言って、ローン申込み用紙に「井川商店」として、実家の苗字を付けた屋号を書いて申込みするよう指示してきたのです。
「収入は100万円くらいで書いておけば大丈夫だよ。」
と言うので、言われた通りに書いて申込みをしたら、無事ローンの審査が通ったことを思い出したのでした。

同じ手口が、消費者金融の審査で通用するかどうかはわかりませんが、専業主婦で申告したらまともに借入れすることは出来ないのでダメで元々です。

また調べてみると、収入証明の提出が必要なのも、

・消費者金融での合計の借入額が100万円を超える人
・その消費者金融での借入額が50万円を超える人

に限定されていることもわかりました。

ハルカさんが着付けの免状を持っているのは事実なので、「井川着付け教室」として、実家の苗字を付けた屋号で、自身の年収額は150万円で申込みをしました。

幸い実家は同じ市内にあり、子供を連れて月に1回程度は顔を出しています。
在籍確認はそれにあわせてしてもらえば、実家の電話に出ることは難しいことではありません。

まるで子供だましのような安易な手口ですが、ハルカさんは無事、新たな会社からなんと30万円の限度枠をゲットすることが出来ました。

属性次第では消費者金融も片目をつむる

その当時、私はハルカさんが新たに借入れを起こした会社で勤務していたのですが、ハルカさんからこのような身の上話を聞いたのは、ハルカさんに増額営業をしたことがきっかけでした。

こんな話を悪びれもせず、借入れ先の担当者にすることにはやや呆れてしまいましたが、裏を返せば、それだけ世間知らずの上客だということです。
このような客には、正直いくら貸しても回収することは可能です。

私はハルカさんに「このような話は、聞く人によっては大問題になってしまうので、絶対に他言しないように」と念を押して、何事もなかったかのように、その時点で総量規制の範囲で最大限の50万円まで増額をしておきました。
(最初に借入れた消費者金融は出金停止されたこともあって既に完済していました。)

尚、最近の消費者金融の審査では、このケースのように勤務先が法人でない場合は、収入証明の提出を求める会社が増えてきましたが、当時の私のように、相手の属性が良ければ、片目をつむって、何も取得せずに融資してしまう会社もあるのもまた事実なのです。

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