カードローンの審査ポイント

カードローンの利用をするには当然ながら審査を必要としますが、その審査手法は非公開で謎に包まれています。
いったいどのような審査が行われているのでしょうか。
ここでは、カードローンを「消費者金融」と「銀行カードローン」に分類し、それぞれの審査手法やポイントについて解説していきたいと思います。

消費者金融の審査の特徴

まずは消費者金融の審査から解説していきます。

消費者金融の審査の流れ

消費者金融の審査は大まかに以下のような工程で成り立ています。

  • ・審査対象外の人の足切り
  • ・指定信用情報機関を利用した返済能力調査
  • ・属性情報や生活状況のスコアリング

まずは各社の審査基準に基づいて審査対象外となる人の足切りが行われます。
例えば、勤続年数3ヶ月未満の人には融資しないという基準が決められていたら、それに該当する申込者はその時点でそれ以上先の審査には進まずに足切りとなってしまうというわけです。
この基準は各社によって異なりますし、随時変更されるので、一概に記すことは出来ません。

次に、指定信用情報機関を利用した返済能力調査が行われます。
ここでも「他社延滞中」、「法的手続をとられた」、「総量規制に抵触(既に年収の3分の1を超える貸出しがされている)」など、明らかな否決項目に該当している場合はこの時点で否決になります。

最後に属性審査として、生活状況を点数化する「スコアリング」審査が実施され、融資可否や融資限度枠が決定されることになるのです。

最大の特徴は総量規制

消費者金融の審査の最大の特徴は、前述したように、法律で年収の3分の1を超える貸付けが禁止されていることで、このことを「総量規制」と言います。

例えば、年収300万円の人であれば、消費者金融など貸金業者からの借入れ総額が、100万円を超えるような融資を受けることは出来ません。
(この総量規制判定にカウントされる借入れ額は、消費者金融等貸金業者からの借入れだけで、銀行カードローンや買い物のローン(ショッピングローン)などは含まれていません。)

このため消費者金融が無職無収入の専業主婦へ融資することは、配偶者の同意を得て年収合算する方法を除いては、原則不可能となっています。

スコアリングとは

スコアリングについても、もう少し詳しく説明しておきましょう。
スコアリングとは、申込者の生活状況に点数を付けていき、その合計点で融資の有無や、融資金額を決定するものです。

例えば、「勤務先種別』という属性で点数を付けると以下のようなイメージです。
・公務員・・・20点
・上場会社(大会社)・・15点
・中小企業・・10点
・零細企業・・5点

このような点数付けを他にも、住居種別、居住年数、既婚未婚、世帯人数、など様々な項目で行います。
もちろん、点数が高いほど高額融資が可能ということになります。
大手消費者金融ではこのスコアリングはコンピューターによる自動計算で算出きるようになっています。

個性的な中小消費者金融の審査

消費者金融の中には、テレビCMなどで有名な大手消費者金融以外にも、かつて、「街金」と呼ばれていたような中小規模の消費者金融も存在しています。

これら中小消費者金融は、
・過去に自己破産や債務整理をした人
・既に複数の消費者金融から借入れがある人
といった大手消費者金融で審査が通らない人達の受け皿となっています。

中小消費者金融は大手と比べて初回融資額も低く、10万円以下の金額となることも珍しくありません。
また、大手のようなコンピューター設備は整っていないので、スコアリングなどは行っていない会社がほとんどです。
審査基準も曖昧で、審査の可否は各担当者の主観で決まってしまうこともあります。

そんな中小消費者金融の審査でポイントとなるのは、「生活状況のヒアリング』です。
中小消費者金融では大手に比べて属性が良くない人に融資をすることになるので、審査の際にヒアリングで返済意志がしっかりしているか確認しているというわけです。
元々審査基準が曖昧な分、このヒアリングでしっかりアピールできれば、思わぬ高額融資となることも珍しくありません。

承認率とは

消費者金融の審査の通りやすさを比較する目安として、「承認率」という数値があります。
承認率とは、申込み件数に対して承認(可決)した件数の割合のことで、

承認率=承認件数÷申込み件数

という簡単な数式で算出することが出来ます。

大手消費者金融の承認率は、決算報告で公表しているので、各社を比較することも可能です。
大手はどの会社の数値も大体、40%~50%の間で安定しています。

ちなみに中小消費者金融の承認率は、どんなによくても10%を超えることはほとんどなく、低くて1%台、平均で4~5%台といったところです。

銀行カードローンの審査の特徴

続いて銀行カードローンの審査を解説していきます。

銀行カードローンの仕組み

銀行カードローンのほとんどは消費者金融などノンバンクが「保証会社」となっています。
「保証会社」とは、銀行が融資をする際にその債権を保証する会社のことです。

銀行は保証会社に一定額の保証料を支払うかわりに、その債権が不良債権化した場合には、保証会社が顧客に成り代わって銀行に代位弁済して立替精算する仕組みです。
(代位弁済があっても顧客への求償権が銀行から保証会社に移っただけで、債権が消滅したわけではありません。)

また、ほとんどの場合、その銀行の傘下の消費者金融やノンバンクが保証業務を担っています。

例)
●三菱UFJ銀行カードローンバンクイック・・アコムが保証会社
●三井住友銀行カードローン・・SMBCコンシューマーファイナンス(プロミス)が保証会社

銀行カードローンでは、銀行本体の審査に加えて、保証会社でも審査を行っています。 否、むしろ銀行本体の審査は一次審査的なもので、主だった審査は保証会社の業務と言っても過言ではありません。

このように銀行カードローンとは、銀行ブランドで属性の良い顧客を集客し、個人向け無担保融資のノウハウがある消費者金融などが、審査や回収を行っているという仕組みなのです。

総量規制の適用はありませんが・・

銀行カードローンの最大の特徴は、消費者金融など貸金業者に導入されている「総量規制」の適用がないということです。
このため借入れ総額が年収の3分の1を超えていても、融資するのに法律上の規制はありません。

2010年6月の改正貸金業法施行で消費者金融に「総量規制」が導入された当初、銀行カードローンは、この総量規制の対象外ということを宣伝文句にしていました。
しかし、2016年後半ごろから銀行カードローンの過剰融資が世間で騒がれるようになり、大手メガバンクでは、2017年4月ごろより、このような表現を用いることは自主ルールで禁止するようになりました。

また、2017年10月頃には、大手メガバンクが、自主ルールで、カードローンの融資額に制限を設けたことが判明しました。
これを受けて他の銀行も追随することになり、大銀行の大半が、自行、他行、消費者金融を問わず、カードローンの借入れが年収の2分の1までと制限を設けるようになりました。

銀行カードローンの過剰融資問題

前述したように、銀行カードローンは、当初、消費者金融に取って代わる受け皿として期待され、2016年3月には消費者金融を上回る融資残高とまでなりました。
しかしその後、その「過剰融資(貸し過ぎ)」が問題視され、2017年9月以降、金融庁の立ち入り検査まで行われました。

結果、消費者金融のように法律改正までにはなりませんでしたが、各銀行カードローンは、自主ルールでかなり厳しい制限を設けるようになりました。
その影響もあって、現在に至るまで、融資に関しては自粛ムードが続いています。

地銀・信金という手段も

このように大銀行のカードローンは自粛ムードですが、いわゆる「地銀・第二地銀」、「信金」といった層は自主ルールで大銀行ほどの制限を設けていないところもまだあります。

大銀行の審査が通らなかった人でも、これらの審査が通ったという話はよく聞きます。
しかし、これもいずれは、大銀行に追随してゆくものと思われるので、いつまで続くのかはわかりません。早い者勝ちといったところでしょう。

カードローンの審査のポイント

消費者金融も銀行カードローンも審査の骨子は同じです。(そもそも銀行カードローンの審査は保証会社の消費者金融が行っています。)ここで審査のポイントを抑えておきましょう。

年収額よりも安定性が重視される

具体的には次のような傾向があります。

・独身より既婚者の評価が高い
・自営業者より会社員の評価が高い
・会社員より公務員の評価が高い
・居住年数、勤続年数が長い人の評価が高い

極端な話、年収1000万円の自営業者よりも年収500万円の会社員の方が評価されます。まして、公務員で勤続20年以上なんて場合は、ほとんどMAXまで融資しても問題ないと判断されます。

クレジットヒストリーとは

カードローンの審査では指定信用情報機関を利用した他社借入れ情報の調査が行われますが、この調査では他社借入れ件数や金額以外にも、他社返済状況がチェックされます。
この他社への過去の返済状況の履歴のことを「クレジットヒストリ-(クレヒス)」と呼んでいます。

カードローンの指定信用情報機関には、
㈱日本信用情報機構(通称:JICC)
㈱シー・アイ・シー(通称:CIC)
がありますが、JICCでは直近12回分、CICでは24回分の返済履歴がそれぞれ登録されています。もちろん、過去の返済に遅れがない方が評価されます。

このためカードローンの申込みをする際は、少なくとも過去1年間は他社遅れがない状態にして、クレヒスを綺麗にしておくべきでしょう。

買い物のローンは影響するのか

他社借入れの中には、直接現金を借りているカードローンやキャッシング以外にも、クレジットカードなどの買い物のローン(ショッピングローン)もあります。このような借入れはカードローンの審査に影響するのでしょうか。

結論から言えば、カードローンの審査ではショッピングローンはあまり重視されていないので必要以上に気にしなくても大丈夫です。
もちろん、影響が全くないわけではないので、極端な返済遅れは厳禁ですが、キャッシングほどシビアにチェックされることはありません。

否決になってしまったら

せっかくカードローンの申込みをしたのに残念ながら否決となってしまうこともあります。 最後にこんな時の対応方法を記しておきます。

もう2件は申込みしてみる

否決になったということは何らかの原因があるはずですが、特に重大な否決理由がなく、たまたま先方のちょっとした審査基準に合致しなかっただけということもあります。

そのためもう2件ほど申込みをしてみることをおすすめします。
もしこれも審査に落ちて3件連続で否決になるという場合は、これは「たまたま」ではなく、否決となる「明らかな原因」があるということです。この原因が解消されない限り、何度申込みをしても結果は同じになるでしょう。

審査に落ちる主な原因

カードローンの審査に落ちる主な原因を以下に記しておきます。
審査落ちの原因を突き止める参考にして下さい。

・他社延滞中
・他社延滞が目立つ
・総量規制に抵触(消費者金融)
・負債過多
・低収入(年収100万円未満)
・無職
・居住年数が浅い
・勤続年数が浅い

また、どうしても否決となった原因が思い当たらない場合は、一度、信用情報機関に自分の信用情報を開示して確認してみることをおすすめします。
自分では自覚がないまま、信用情報に事故情報が登録されているということも考えられます。
この事故情報は、誤登録されている場合もあるので、身に覚えのない登録があれば、信用情報機関を経由して金融会社に訂正依頼をすることも可能です。

再申込みのタイミング

再申込みをするのであれば、否決の原因を追究し解消してからです。
この場合も次回申込みまでは、その原因にもよりますが半年ほどは空けて申込みするのが無難です。

そして前回否決となったカードローン会社ではなく、別の会社に申込みをすることをおすすめします。
その方が、変な先入観を持たれずに審査をしてもらえるでしょう。